恵みの沼をふたたび
私たちは、昔から印旛沼とともに生き、豊かな恵みを受けてきました。
時には洪水や干ばつのような試練もありました。
人々は印旛沼に畏敬の念を持って接し、印旛沼文化という独特の生活文化を形成してきました。
私たちは、印旛沼に安らぎを覚え、心のふるさとを感じます。
しかし、今日の印旛沼は、近年の急激な都市化による生活環境の変化や社会経済活動等の影響により、水質が悪化しています。
水質の指標となるCODは環境基準(COD75%値:3mg/L)を大幅に上回り、2007(平成19)年度には、全国湖沼水質のワースト1となってしまいました。
また、印旛沼の水源(湧水)を涵養する流域の台地や、湧水が湧き出る里山や谷津の環境が変容し、多くの在来動植物が減少・消滅する中で、ブラックバスやカミツキガメ、ナガエツルノゲイトウ等の外来種が侵入・繁殖する等、生態系も日々悪化しています。
一方、流域では、住宅開発等の急激な土地利用変化等により洪水流量が増加し、浸水等の水害が発生しています。
さらに今後、地球温暖化による影響も懸念されます。
印旛沼は私たちの生活と流域の環境を映す鏡です。
印旛沼の水質を浄化し、健全な生態系を保全・再生するとともに、水害の軽減を図ることにより、印旛沼と共生することを目指さなければなりません。
水清く、自然の恵みにあふれ、穏やかで豊かな印旛沼・流域を再生し、次世代に生きる子どもたちに引き継いでいく必要があります。
そこで、2001(平成13)年に、印旛沼の関係者により構成される「印旛沼流域水循環健全化会議」を立ち上げ、様々な取り組みを行ってきました。
そして、2010(平成22)年1月、「印旛沼流域水循環健全化計画」を策定しました。
本計画は、約20年後の2030(平成42)年度の印旛沼の姿を、地域住民、市民団体、企業、学校、水利用者、行政(市町村・県・国)をはじめとする全ての関係者が共有できる目標として描くものです。
そして、その目標の達成に向けた、それぞれの役割分担を明確にするものです。
今後は、本計画に沿った取り組みを、関係者全員の緊密な協力と連携のもとに進め、水清く、自然の恵みにあふれ、穏やかで豊かな印旛沼・流域を再生することを目指していきます。