【水質改善技術検討会の目的】
印旛沼の水質を改善するためには、主に次の2つの対策が必要です。
1.流域対策:流域で発生する汚濁負荷量の削減(家庭や工場、市街地や農地等) 等
2.沼内対策:印旛沼内で自然の自浄作用回復や流動化 等
このうち、沼内対策については、主に河川管理者(千葉県等)が実施していく必要がありますが、印旛沼の水質形成メカニズムはとても複雑です。効率的・効果的な沼内対策を講じていくためには、そのメカニズムを解明するとともに、技術的にも高度な検討を行うことが必要でした。
そこで、水質改善技術検討会は、学識者、専門家、研究者および行政(河川管理者)をメンバーとし、印旛沼内の水質形成メカニズムを解明した上で、特に河川管理者が実施する具体的な水質改善対策を検討することを目的としています。
【検討の経緯】
水質改善技術検討会は、印旛沼流域水循環健全化会議が発足した2001年10月から約1年後の2003年(平成15年)1月に設立されました。検討会では、テーマ毎に「水質改善効果検討ワーキング」「植生検討ワーキング」「水位・水質・植生合同ワーキング※」の3つのワーキンググループを立ち上げ、お互いが連携しながら検討を進めてきました。
■水質改善効果検討ワーキングの概要 水質シミュレーションモデルの構築、水質形成機構の解明、施策の水質改善効果の定量評価の実施■植生検討ワーキングの概要 植生が水質に及ぼす影響把握、植生再生方策の検討、印旛沼・流域の湿地再生の望ましい姿について、鳥類を含めた生態系の視点から議論 ■水位・水質・植生合同ワーキングの概要 |
その後、約6年の各ワーキンググループでの検討を経て、2009年(平成21年)2月に河川管理者が沼内で実施する対策を取りまとめた「印旛沼水質改善施策 河川事業計画(案)」を作成しました。なお、この事業計画(案)の内容は、印旛沼流域水循環健全化計画の中に反映されています。
※技術は常に進歩し続けるものであり、常に最新の検討内容を反映することを意図して、敢えて“(案)”を残しています。
表 印旛沼水質改善施策 河川事業計画(案)で位置付けを行った対策
対策 | 対策メニュー | 対策量 |
---|---|---|
対策1 | 植生帯整備 | 延長8km程度 |
対策2 | 水位変動 | 継続実施 |
対策3 | 侵略的外来生物の防除 | 特に、ナガエツルノゲイトウの防除 |
対策4 | 浚渫 | 植生帯整備に活用する分を実施 |
対策5 | 大和田機場流動化運転の見直し | 現在の流動化運転方法を見直し、モニタリングを実施 |
対策6 | ウェットランド整備 | 2箇所程度でファーストフラッシュ負荷削減の効果があり、生物多様性の向上にも寄与するようなウェットランドを整備 |
その後、第2期行動計画では「水草再生ワーキング」および「水質改善工法検討ワーキング」を立ち上げました。「水草再生ワーキング」では沈水植物群落の再生等に関する技術的検討、「水質改善工法検討ワーキング」では印旛沼の効果的・効率的な水質改善手法に関する技術的検討を行っています。
平成26年度からは、印旛沼水質改善技術検討会・水質改善工法検討ワーキング・水草再生ワーキング合同会議(通称:水水合同会議)として運営しています。
【取り組み内容】
・合理的な水質指標を定め、その指標に基づいた水質改善効果の検討
・水質形成機構の解明
・水道水源としての問題解決
・効率的な改善手法を選定し事業化に向けた方策の検討
・その他検討会において必要と認める事項
【検討体制】
水質改善を専門とする学識者・専門家や研究機関、行政の関係部局で構成されています。
・委員名簿
【印旛沼流域水循環健全化会議との関連性】
本検討会と健全化会議との関係を下図に示します。本検討会で議論した水質改善策のうち、流域で取り組める対策については健全化会議等で役割分担などを話し合います。